《うちの夫−2》年末になると思い出す夫の話


 もう何年も前のことですが、

 年末のある日、うちの夫が経験したことです。

 この季節になると、その話を思い出すんです。

 特に、電車のホームに立つとね。



 それは、ある日の電車のホーム。

 時間帯は、午前中。でも、ラッシュアワーは過ぎたころです。

 あわだだしい時間は過ぎていた、そういうとき、

 駅のホームの売店で何かを買ったうちの夫、

 はずみで自分の千円札をはらりと一枚、落としました。

 そして、

 ちょうどそのとき、風が吹いたのです。


 そのお札は、なんと線路上に落ちてしまいました。

 「あ、ああー」とそんな顔をした夫のそばに、

 運良く駅員さんがいらして、

 夫は思わず、取ってほしいという顔をしたんですね。

 親切な駅員さん、「よっしゃ」とうなずき、

 すぐに長ーい棒状の器具を取り出してきて、

 果敢に、千円札を取ろうとがんばってくださった。


 すぐに取れれば、なんのことはない、

 一瞬のできごとで終わったはずです。


 ところが、その日、風が少々強かった…。

 その上、そこは明大前という駅で、

 結構、電車が来る駅だったわけです。


 千円札は、風に舞うかと思えば、落ち、

 もう少しで取れるのに、というところまでいったら、

 今度は電車が進入してきて、

 一旦、作業ストップ。

 
 もちろんホーム両サイドの相当数の人々が、

 都会人としての無関心を装いつつも、

 なんとなーく、いや、これほどの見ものはないと、

 さりげなーく、でも熱心に注目してしまったのは、あたりまえです。

 もし、私がその場にいれば、もちろんじっと見ていたでしょう。


 そんな訳で、お札がつかまるまでの10分以上、

 夫は「1000円札1枚にこだわったケチケチおやじ」として、

 みなさんの視線を浴びながら、そこにたたずむことになったわけです。

 途中で「もういいです」とも言えず、

 お札をありがたくいただくまで、

 律儀にたたずむしかなかったわけです。



 夜、家に帰ってきた夫、

 恥ずかしかったんでしょうけれど、

 そんなおかしな話をできることが、妙にうれしそうでした。

 だから、よけいに忘れられない話になりました。
posted by 妻野 at 12:57 | Comment(2) | うちの夫・よその夫
この記事へのコメント
妻野さんの夫の駅での情景が目に浮かぶようです!
思わず笑ってしまいました。
Posted by zukushi at 2005年12月16日 08:32
「思わず笑っていただき」ありがとうございます。
夫も喜びます。
といっても、いまだ、本人はこのブログのことを知りませんので、
知らせようがないのですが、
いつの日か、きっと知らせますね。

ホームでのお札の取り扱いにはどうぞご注意を。

この話を聞いて笑った後、私のある友人は、
ホームで落とした自分の靴をいかに取り戻したか、
という武勇伝を教えてくれました。
いや、もちろん、駅員さんに取ってももらった話ですが、
そんなことが3回もあったって言うから、
びっくりしました。

確かに、靴は片方なくして、
そのまま立ち去るわけにはいきません。
でも、なぜ、そんなに何度も、ぬげちゃうのか、
その方がなぞでした。
Posted by 妻野加賀美 at 2005年12月16日 09:07
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